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カテゴリ:俳句/短歌/川柳( 183 )

川柳句会&お別れ会

ピアノさんのお別れ会、紅雀さんの退院祝い、四方女さんの新入会のお祝いが入来のもんじょカフェであった。その後移動して入来の文化ホールで5月句会。
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by attainmentofall8 | 2019-05-09 21:22 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

4月ここせん

皆さん~お待たせしました。(^^)

ここせん4月放送原稿

つばさから5句5句

●紅雀選

あの世でも僕を守ってくれますか 松本清展

)妻に先立たれた男の本音に泣けてくる

亡夫より年上になる誕生日    前田洋子

)生きちゃった!あなたゴメン! という感じだろうか淡々とした中に生きる力強さを感じる

虹渡りたい足をきれいに拭いてから しもこまき

)虹を渡る非日常と、足を拭く日常の対比が見事な作品

右向けと言われて日がな左向く 野元まこも

)思わず吹き出した。小さな反抗。しかし、確固たる反抗。

チューリップいつから居たのコンニチワ 鳥澤祐輔

)こんな句に出会うと心が洗われる気がする。下5のカタカナ表記のコンニチワが絶妙だ。

●あけみ選

どこからくるの眠れぬ夜の羊たち ありはらようこ

虹渡りたい足をきれいに拭いてから しもこまき

今日もまたのっぺらぼうの日が終る 鳥澤祐輔

新元号話すことなく花の下    だいらさだお

フレッシュな期待令和の風を待つ 外園ピアノ

●スーグルの名句鑑賞

P130(街・旅)

「傷口をなめてはくれぬ夜の街」田中新一

日常の中で、傷ついている男がいた。

同じく傷ついている人、疲弊している人たちがどこかにいるだろうということで、男の日常生活には接点のない夜の街に繰り出した。

華やかな夜の世界。楽しそうな人々。

しかし、夜の街は夜の街なりの秩序がある世界。簡単に傷口を癒すところではなかった。。

そんなことを想像しながら、結局のところは、傷をなめてもらおうとは思わずに、自分で手当てをし強くなるしかないんだと受け取れる句だと感じた。

3月出題結果  

川柳道場「明」  1732句 よったま選

入選

だいじょうぶ明日があるさ腐らない 春 爺

夜桜へ行方不明になってみる   恵

嫁ぐ娘へ明かり隅まで照らす母  なごみ

病み上がり明るい色が着たくなる よーこ

意味わかり世界ひときわ広くなる  いそこ

月明かりあなたと歩く影ひとつ トリトリ

奈落から光明探すホームレス よしひさ

明日こそなんて前向きいい響き  たかこ

冤罪を晴らす明日を信じきる   まゆみ

明るくて感じがよくて苦労人 よーこ

佳作3

LEDを心の窓に取りつける   たかこ

佳作2

ロボットに説明受ける新社員   まこと

佳作1

ポジティブに生きよういつか夜が明ける のびた  

準特選

迷ったら明るいほうへ舵を切る むーんらいと 

人生にはたくさんの道がありますが、迷ったら、明るい方に方向転換して行きたいです。

特選

令和から届く明るい未来地図   颯 爽

まもなく令和が始まります。

明るい未来地図でありますように願っています。

軸吟

★美人より明るく笑う人が好き  よったま

1 まゆみ    14.3

2 颯 爽    12.7

3 むーんらいと 12.1

4 よったま   11.1

5 喜 宏    10.9

6 なごみ    10.6

7    10.5

7 よーこ    10.5

9 春 爺    9

10 雨 水    8.7

11 まこと    7.5

12 のびた    7.4

13 清 展    7.3

14 トリトリ   6.9

15 たかこ    6.8

16 ちかよし   6.4

17 ミモリ    5.6

18 よしひさ   5.1

19 さだお    5

20 風 化    4.6

21 いそこ    2

次回題「川」5/25放送

 締め切り5/17

折句「さくら」 1526

事務局選

さっそうと靴音はずむランドセル   いそこ

坂道を苦もなく駆けるランドセル   よしひさ

先々の苦労も背負うランドセル    ちかよし

サクサクとクッキー食べる楽天家   ミモリ

左遷にも屈託のない楽天家      喜 宏

さっぱりと暗い浮世に楽隠居     春 爺

五月雨にくりかえし読むラブレター むーんらいと

さあ飲もう口惜しさ隠しラッパ飲み  のびた

さよならの靴を脱ぎ捨て楽になる   まゆみ

坂道を下る自転車ラララララ     雨 水

三鉄開通暮らしが少し楽になる    さっこ

サラサラと黒髪揺らしランデブー   十六夜

よったま選

人 再会に雲厚きまま拉致の海   まこと  

地 サバサバと苦労忘れる楽天家  颯 爽  

天 咲いた日へ苦労は言わぬ蘭の花 なごみ 

軸吟

★桜咲く苦労忘れてラッパ吹く よったま

折句「さいた」1425

事務局選

桜守り急ぐ蕾をたしなめる      いそこ

騒ぎにはいの一番で助け舟       春 爺

サックスを粋に吹いてる滝のそば   ミモリ

さあ今日も生きて頭に叩き込む    喜 宏

再会にいっぱい涙ためている   むーんらいと

さよならを言えずに帰る田んぼ道   よしひさ

最初から息合うあの娘ターゲット   のびた

さよならといきなり告げて旅の空   ちかよし

さよならと一期一会の旅カバン    颯 爽

最高の言い訳なのに立たされた    雨 水

最期まで一緒に歩くタッタタタ    十六夜

よったま選

人 咲いた場所一番似合うタチアオイ なごみ 

地 里の海いいわけ聞いて抱きしめる まゆみ 

天 最下位にいても明るいタイガース まこと 

軸吟

★さりげなく言い訳してるタコのくち よったま

まこと 8
まゆみ 7
ちかよし 6
よしひさ 5
むーんらいと 4
なごみ 4
颯爽 4
喜宏 4
ミモリ 4
春爺 3
のびた 3
さだお 2
たかこ 2
清展 2
雨水 1
いそこ 1

次回題「からす」「ひばり」

5/25放送 締め切り5/17


by attainmentofall8 | 2019-04-27 21:07 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(6)

3月ここせん

冬眠状態の当ブログがお陰様で目が覚めました。

表をはずして打ち直したのでアップが遅くなってしまいました。不慣れゆえです。

紅雀さん早く退院してね~ 夢修


3月ここせん結果  放送日3/23

●川柳道場「空」  15名29句 なごみ選

入選

空っぽの弁当箱で反抗期     恵

祭り笛消えて空気の抜けた過疎   喜宏

空席がふえてふる里近くなる  よーこ

詐欺の舌まことしやかに絵空事   颯爽

おーい空平和な空でいておくれ   雨水

空っぽの頭にもある好奇心     喜宏

空ごとを言ってる暇は無いお歳    春爺

病室の小さな空の泣き笑い   雨水

妻逝ってぐっと身近になった空  清展

山寺で座禅を組んで空(くう)になる よしひさ

佳作3 

空想に胸のときめき止められず  むーんらいと

佳作2 

何もかも忘れて空へ深呼吸 よったま

佳作1 

まっさらな空へはばたくランドセル むーんらいと

準特選

青空に恋して決めたIターン まゆみ

〉田舎へ純粋な気持ちでIターンした訳の一番は青空だったのでしょう。

特選 

青空へ翼広げて飛んでみる  よったま

〉翼いっぱい広げて羽ばたく少年の姿が映し出され、希望が見え、佳句ですね。

軸 大の字で草原の空鷲づかみ  なごみ

3月

1 まゆみ13.3

2 颯爽 11.2

3 喜宏 10.9

4 むんーらいと 10.7

5 よったま 10.1

6 なごみ 9.6

7 恵 9.5

8 雨水 8.7

9 よーこ 8.5

10春爺 8

11清展 7.3

12ちかよし 6.4

13まこと 6.3

14のびた 6.1

15トリトリ 5.9

16ミモリ 5.6

17さだお 5

18たかこ 4.7

19風化 4.6

20よしひさ 4.1

21いそこ 1

折句「ピカソ」  14名24句

・事務局選

ぴかぴかにカミさん指示で掃除する  春爺

ピカイチの歌唱ひばりをそっと聴く  清展

ぴったりの数が出てくる組織票   まこと

ピン札を数え直してそっと笑む   颯爽

ピアノ弾くか細い指にそっと触れ   ミモリ

ピアニスト感じたままにソプラノで  むーんらいと

ピンヒールかっこ悪いよその足じゃ  よしひさ

ピノキオが案山子になった空は青  雨水

ピカドンへ寡婦が睨んだ空の青  まゆみ

ピクニック家族ほのぼの空笑う  のびた

ピンク着てカラス鏡をそっと見る 十六夜

・なごみ選

 ピアスにも過去忘れたい空の旅  喜宏

地 ピアノから可憐な音色早春賦   ちかよし

 ピンヒール闊歩してゆく空の青  いそこ

軸 ピカピカの鞄に詰めた空と虹  なごみ

折句「マダム」  14名24句

・事務局選

満月と団子わたしと無愛想    清展

待ってるよ大好きなんだ無限大  雨水

ママ友と団子食べたべ無駄話   颯爽

まぶしいな大胆すぎる胸元だ  むーんらいと

マイペースで大胆君は無限大  いそこ

マイホーム旦那おどして無理に建て  春爺

全うしてもダメを押される無駄な汗  喜宏

舞妓はん誰を待つのか無縁坂   ちかよし

まだ早い断捨離なんて無理よ無理  よしひさ

守り神ダメと見極め無視された  のびた

真似してもダヴィンチなんて無理ですよ 十六夜

・なごみ選

 まっすぐにダッシュしてゆく向かい風 ミモリ

 舞う風とダンス楽しむ麦畑   まこと

 真っ青なダムに沈んだ村の鬱  まゆみ

 待ちわびたダイヤを嵌めてム・フ・フ・フッ

    なごみ

次回 川柳道場 題「明」

 4/27放送  締め切り4/19

次回の折句 題

「さくら」「さいた」

締め切り 4/19

放送日 4/27

折句結果

累計点

1 まゆみ 6

1 まこと 6

1 ちかよし6

4 よしひさ5

5 むーんらいと4

5 喜宏 4

5 ミモリ 4

8 颯爽 3

8 春爺 3

8 のびた 3

11なごみ 2

11さだお 2

11たかこ 2

11清展 2

15雨水 1

15いそこ 1

17トリトリ 0

17よったま 0

17風化 0

17よーこ 0

17恵 0


by attainmentofall8 | 2019-03-23 14:16 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(20)

切れ字の「や」

降る雪や明治は遠くなりにけり  中村草田男

切れ字を二つ使った例としてよく取り上げられる俳句だが、教科書にも掲載されている。先日の句会で、この句には似たような先行句があったということを知った。

獺祭忌明治は遠くなりにけり 志賀介子

中七と下五が同じなので盗作のように言われるが、「明治は遠くなりにけり」は、昭和になって「明治を懐かしむ」自然な気持ちとして出てきたフレーズではないだろうか。
しかも後者は、子規の忌日の獺祭忌を使っているので、子規にまつわる文学的な風潮が薄れてきたと慨嘆しているような響きがある。季語によって限定された句に仕上がっている。

一方、草田男の句は、切れ字をダブルで使った悪例と酷評する向きもあるが、大胆に推測するにこの「や」は詠嘆ではなく「並列」の「や」と考えることも可能ではないか。

つまり、「降る雪」はそれに象徴される何か大きな事件と理解すると、人間の忠義やその時代時代の特徴的な人間性を示唆していて、大正・昭和とそれが失われつつあることに慨嘆しているようにも思える。

これは、切れ字を二つ使うことは制約の多い五七五の世界では愚かなことだという共通認識の下での大胆な推理である。草田男はあえてそれにチャレンジしたのだろうか?!
by attainmentofall8 | 2016-10-14 21:30 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

大関靖博句集

唯一福永耕二師系の結社を標榜する「轍(わだち)」
その主宰をされている大関靖博氏の句集 現代俳句文庫72ふらんす堂 をもらった。収録作品は、「点描画」抄、「風速」抄、「轍」抄、「五十年」抄、それぞれ百句ずつ計四〇〇句。

大関氏は、英米文学者で専門は古英詩。市川中学一年で能村登四郎に出会い能村氏の没後「沖」の編集長をされている。(現在、沖は登四郎の三男研三さんが主宰を務めている。)

第一句集の「点描画」の福永耕二の跋文(昭和53年8月)を載せてあるが、師弟愛が感じられてほほえましい。大関氏に福永耕二が薩摩流で飲まそうとするが頑として肯わなかったそうでその芯の強さを誉めている。

句集より印象に残った句を挙げてみる。

空占めて落葉松の芽の点描画
死に会ひし帰路の陸橋しぐるるよ
錦木や福永耕二三回忌
末裔としてしたたかに落花浴ぶ
黄落といへば耕二の忌なりけり
天命を受け容れて山眠りけり
飛んでゐるとき力抜く蜂の脚
初蝶の既に命の重さかな
たましひが身から飛び出す大嚔
トマト一個ほどの心臓吾にあり


大関氏は、あとがきに、「二物衝撃」と「瑣末主義」について長年悩んできたが、ここ五年ほどでやっとある程度の解決をみて心の平安が戻ってきた、そして「二物衝撃」は「万物調和」の世界へと導かれ、「瑣末主義」は「一毛孔の中に一切仏を見たてまつる」への観照へと導かれていくと書いている。句業五十年の氏の句集にもうすこし浸ってみたい気分になった。
by attainmentofall8 | 2016-08-17 23:19 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

切れ字「の」

外山滋比古著「省略の文学」を、先日ある方から頂いたので再読する機会を得た。高校の時、読んだのを記憶しているが、当時は内容までは十分理解できなかったように思う。それというのも当時は俳句など全く別世界のことと考えていた節があり、字面だけで内容までは読み切れなかったというのが正直なところである。

普通の文章のロジックを放棄する破格的語法をとるのが俳句であり、月並みな散文性を超克するための必然的方法である。リアリズムの立場から俳句を理解しようとすると、この論理の放棄による純粋詩性を逸してしまうと外山は言う。そして次の一句をあげている。

病雁の夜寒に落て旅寝かな 芭蕉
(やむかりの よさむにおちて たびねかな)

通説のように「病雁が夜寒に舞い落ちて旅寝をする」その姿に、旅に病む作者の孤独と哀愁が二重写しにされていると解釈されるが、そうとしても旅寝の主語を病雁とするか作者自身とするかによって、一句の余情は変わってくる。

「て」によって無理やり主格の転換を行って論理を捻じ曲げていることが、「て」のあとの空間が詩的作用を大きくすると考えられる。

この句の主格を一元的に病雁とするか、二元的に病雁と作者と解するかは「て」の切断力による。つまり散文におけるような意味は俳句には存在しない。
俳句が持っている含蓄は、各人によって異なる解釈を許す曖昧さでありそれが余情というものである。

外山は、旅寝の主格だけを指摘しているが、「夜寒に落ちる」の主格も作者ではないかと私は考える。つまり「病雁の」の「の」で切れるという超文法的異変が起きているとみる。一般的には、「の」は連体修飾語をつくる格助詞と考えられるが、日本国語大辞典には間投詞としての用法を挙げてある。文中の文節末にあって、聞き手を意識しての感動を表わす。間投助詞「な」に近いとある。

「花の色は移りにけりな」の「な」に近いわけである。こう考えると私の解釈もあながち間違いではないだろうと思う。
by attainmentofall8 | 2016-08-11 22:24 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

華文化講演会

「華」短歌会の文化講演会が、鹿児島市民文化ホールであった。
第一部は七人のパネリストによるシンポジウム「短歌の魅力とは?」
第二部は「現代の喪失」、前華短歌会代表 川涯利雄氏の講演。

シンポジウムは、七人の華の同人が、自己紹介の一首、初めの一首、衝撃の一首、好きな一首を個々に話していくという形式であった。内容的にはすばらしいことを話されているのにシンポジウムという形式に則っていないために、パネリスト同士あるいは聴衆から出た質問に答える討議がほとんどなかったのは残念だった。今回、外部から講師を呼ばないで自前で作り上げた毎年恒例の文化講演会という触れ込みであれば、もっと質問や意見がどんどん出る雰囲気になってもよかったのではと思う。


川涯先生の講演は、岡野弘彦の歌を中心に「現代の喪失」について。
冒頭に、

鳥にあり獣にあり他人にあり我にあり命といふは何をはたらく 宮柊二

という歌を紹介。何をしでかすかわからない人間の不可思議さに言及された。我という漢字は、両手に槍となぎなたを持って人間が本来持っている惻隠の情のような情感を守っているとのこと。

辛くしてわが生き得しは彼らより狡猾なりし故にあらじか 岡野弘彦

岡野氏は特攻を志願するも代々続く神社の宮司を継ぐために親の反対で叶わなかった。亡くなった多くの友人に申し訳ないという感情を常に持っている。鎮魂が日本人には足りないと岡野氏はいう。

坂の上の雲あかあかと夕焼けてまたひとり子が殺されにけり 岡野弘彦

現代人が失ってしまったものを、うたびとの善意で世直ししていく必要があるという結びであった。
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by attainmentofall8 | 2016-08-06 23:05 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

雁ヶ腹摺山

現代短歌新聞の8月5日号、吉村睦人氏の添削コーナーコラムに大変興味深い話がある。

ある歌会で「尾根いくつ越えし向うに見えてゐる雁が腹摺り山を越え来ぬ」という歌に対して、下句を「雁が腹摺り尾根を越ゆるが」と直されたという。すると作者が、「雁が腹摺り」は山の名前です、と言ったそうだ。

ポイントは、「がんがはらすりやま」は山の名前だということである。雁が腹を摺るように山を越えて来たととってしまうのが、一般的だろう。このような固有名詞には「」括弧を付けるといいいとアドバイスしている。

ちなみにこの「雁ヶ腹摺山」は、山梨県大月市にあり、標高1874m。大菩薩嶺から続く小金沢連峰の支脈にある山のひとつだという。
誰がつけたか知れないがずいぶん情趣に富んだ山の名前である。雁が渡る遠景があたかも腹を尾根に摺りつけるように見えたのだろう。

括弧を付けなくてはならないようなものは、例えば花を例にとると・・・薔薇なら「伊豆の踊子」、紫陽花「墨田の花火」、チューリップ「紅獅子」、朝顔「団十郎」なんていうのもある。

川の名前である「坂東太郎」「筑紫二郎「四国三郎」も知っている人は知っているだろうが、知らないと、歌に詠まれた場合には全く歯が立たないことになる。
by attainmentofall8 | 2016-08-03 19:52 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

切れ字「や」の続き

切れ字の「や」について。前回、

朝顔に釣瓶とられてもらい水 加賀千代女

の「に」は「や」で切れるのが原句だったのではないか、という記事を紹介した。

朝顔や釣瓶とられてもらい水

「に」は理屈が先行する。「や」は「朝顔や」で切れることで、朝顔の咲く朝に、誰かに釣瓶を盗られてもらい水をする、ととるべきではないかというのが久米氏の意見である。一方、釣瓶を盗まれるという無粋なことは俳句にはならないのではないかという意見もある。千代女さんに、もらい水してもらうことを希望する隣人にいたずらで隠されたかなにかではないか?なにせ朝の寝起きの顏でも美人の千代女さんである。

「や」で切った二句一章の句を見ながら、季語との微妙な付き具合をみてみたい。つまり季語が動かず一句の中で生かされているかどうかということである。

あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ  橋本多佳子
あぢさゐや軽くすませる昼の蕎麦  石川 桂郎
あぢさゐや仕舞のつかぬ昼の酒   乙二
あぢさゐやなぜか悲しきこの命   久保田万太郎
紫陽花や家居の腕に腕時計     波多野爽波
紫陽花や師の音声のラヂオより   石田 波郷
紫陽花や子を生み終へし高いびき  岩田 由美
紫陽花や身を持ち崩す庵の主    永井 荷風

紫陽花は、梅雨時の代表的な花であるが、万葉集の時代は「ガクアジサイ」のことだと考えられている。橘諸兄の歌に、「あぢさゐの八重咲くごとく八つ代にをいませわが背子見つつ偲はむ」からみても、大ぶりな色柄からおめでたい花と考えられていたようだ。

今では品種改良されてさまざまな種類があるが、ガクアジサイはホンアジサイに比べ控えめな感じがするのか花言葉は「謙虚」。

ホンアジサイの花言葉は多彩。
ポジティブイメージでは、「元気な女性」「辛抱強い愛情」「一家団欒、家族の結びつき」
ネガティブイメージでは、「移り気・浮気・変節」「冷淡」「高慢・無情」

波郷句は、切れを大事にした波郷らしい句である。師とは秋櫻子のことだろうか。ガクアジサイから師系図がイメージされるうえに、ラヂオを通して聴く師の声に敬意すら抱いている。

万太郎句の「なぜか悲しきこの命」。「気に食わぬ風もあろうに柳かな」という川柳を思い出す。濁世に身を置くしがない人間の宿業すら感じる。この句の場合、無常観があぢさゐという季語を抜きにしては出ないだろう。
by attainmentofall8 | 2016-07-26 23:48 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(0)

朝顔や

俳句雑誌「火の島」8月号の俳句文語塾(久米芳仙)に面白いことが書かれている。

教科書などにも出てくる加賀千代女の有名な俳句

朝顔に釣瓶とられてもらい水

この句の、「に」は「や」で切れるのではないかという角川源義の意見があることと、飯田龍太「作品のこころ」に、千代女の生地加賀松任市の聖興寺にある茶掛けには「や」で書かれてあるということを紹介している。

「に」の場合を考えてみると、朝顔に釣瓶をとられるというのは不自然で、たとえ取られたとしても一晩の蔓の巻き付きくらいならそっとはずして水をくめばいいわけであまりにできすぎの感がする。優しさを前面に出しすぎで嫌味すら感じてしまう。

一方、切れ字「や」にして二句一章の句と考えると、全く違った意味が現出する。
朝顔や釣瓶とられてもらい水

これなら、泥棒か何かに釣瓶桶を盗まれて水が汲めなくなってしまった。仕方なくもらい水をしたとなり納得のいく句になる。盗まれたなんて無粋なことよと思うなかれ。俳人蘭更によれば、「あはれなるやうにてつよからず、いはばよきをうなの、なやめるところあるににたり」と絶賛したという。「や」にしてこそ、美人俳人の千代女の句姿になってくる。

以上が久米氏の要約である。
by attainmentofall8 | 2016-07-25 22:52 | 俳句/短歌/川柳 | Trackback | Comments(2)