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鹿児島の女性作家たち

久しぶりに小説らしい小説を読んだ。先日借りた「鹿児島の女性作家たち」という本の中に入っている、7編の小説のうち4編を読み終わったところである。全国的に売れている名前ではないが、鹿児島にこんな素晴らしい感動的な小説を書く女性がいるのかと思うと誇らしくなってくる。

出水沢藍子著「爪」  大島紬の泥染め職人の家に嫁いできた女性の、気丈で一本筋の通った生き方を見せてくれる。家に縛られ夫に縛られる典型的な旧来の女性像だが、最後に女性の強さを描いて涙を誘う。夫が放蕩先でなくなると、死体はフェリーでは運ばないという規則を何度も掛け合って例外扱いしてもらい遺体を自宅に運ばせる。奄美の方には、死んだ人と一緒に家族の爪を切って一緒に入れてあげる風習があるという。髪の毛同様に爪にも特別な魂がやどり、死人の成仏を助けると考えられているらしい。ところが彼女は泥染めを長年やってきて、職人のしるしである爪が擦り切れてない。彼女は痛みをこらえて…。

相星雅子著「リトル・スター」  読みながら涙が止まらなかった。戦中に結婚を誓い合うも、男は出征して満州に行く。看護婦をしている女性は、後を追って中国に渡るも転戦しているためか逢えない。あるとき勤務している病院の精神病棟にいるのが分かるが、戦況悪化で撤退する直前。俘虜の辱めを受けないために注射でほとんどの患者が殺されるなかで、元恋人を殺す役目をする皮肉な運命に遭遇する。その後、その命を下した病院のナンバー2と帰国後結ばれるが、トラウマから不幸維持生活を送ることを心に誓う。しかしながら、子供が生まれ子供の幸せを願うために”不幸維持生活”の一時保留を決めて子育てに専念する。子供が3人成人してそれぞれ社会人(医者や弁護士など)として独り立ちして幸せの絶頂にあると思われたある日、女は元彼のよく歌っていたリトル・スターをスナックで聞いて死を意識する。元彼を殺した同じ方法で…。
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by attainmentofall8 | 2012-06-05 22:53 | 読書