人気ブログランキング | 話題のタグを見る

日々の雑感


by さむちゃん
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

natchさんへお礼と質問

8月19日の四合瓶という僕のブログに対して、ハンドルネームnatchさんから非常に丁寧で専門的なコメントをいただきました。改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。

そのうえで質問させていただきたいのですが、日本人の中にはどうしても4(し)、9(く)という読みを無意識的に忌避する傾向があるように思います。死や苦を連想するからでしょうか。プロレス技の四の字固めや四年制大学のことをいう四大、また四文字言葉や四駆など「よん」と読み「し」とは読みません。このあたりの使い分けはどう考えたらよろしいのでしょうか。

ところで、脳の働きを他者との関係や社会との関わりの中で生成される現象ととらえようとする研究で今注目されている藤井直敬氏のことを思い出しました。脳は周りの環境の影響を受け、周囲との相互作用の中で働いていると考える考え方です。

もう一つは、中村桂子さん(JT生命誌研究館長)が人間の体内にある300種類、約100兆個の常在菌を人間の遺伝子と一緒に考える研究(ヒトメタゲノム)をされていると何かで読みました。ヒトゲノムの解析と細菌の分析を同時に行っていくという発想です。

つまり、日本人は歴史的な読みを時代の変遷の中で社会的な関係性をも踏まえて変化させてきている、あるいは使い分けてきているという側面がないでしょうか。平たく言えば、接客などの場面において、例えば「お次、し番のかたどうぞ」と言われるより、「お次、よん番のかたどうぞ」のほうがいいように思います。「し合瓶」も死を連想したり、尿瓶(しびん)を連想するためか「よん合瓶」のほうがポロリと出てきてしまうという心理的側面はないでしょうか。もちろんnatchさんのご指摘のように固有名詞と考えれば話は終わってしまうのですが…。

数詞はたしかにむずかしいですね。読みということになれば、社会的関係性、心理的影響などのファクターを加味した新たな研究が可能な気がしますが、いかがでしょうか。

以下にNatchさんのコメントを一部抜粋して掲載させていただきました。

日本語は、中国から長い期間をかけて伝承されてきたものです。
いち、に、さん、し、ご、ろく、しち、はち、く、じゅうは、数詞における、呉音の配列です。
戦前は正式にはほとんど四は“し”と読んでいました。したがって、日本酒、焼酎など、和の伝統的なものに関しては、伝統にのっとって、時代的な読み方、“しごうびん”と読み、それは、固有名詞と思ったほうがふさわしいと思います。

日本酒を扱っている酒屋さんに行って、“よん合びんください”って言うとまず、“しごうびんですね”という返事が返ってくるでしょう。720mlのワインボトルをしごうびんとは言わない所以です。

ちなみに、宮沢賢治の“雨にも負けず”のなか、“一日に玄米しごうと、味噌と少しの野菜を食べ・・・・・・・”
これも、“よんごう”と読んでしまっては、宮沢文学は色あせてしまいます。

とても日本語が乱れてきており、危惧する者です。
時代で変わってよいものと守らなければならないものがあります。日本の国語教育の中で置き去りにされてきたものは多く、漢字音の問題などは完全に片手落ちですね。“建立”など、“こんりゅう”と読むのですよ、にとどまり、“なぜ”が置き去りにされてきました。

大学で日本語を学んでいる、かの中国人女性は、“呉音、漢音”など、日本人より深く学び、日本語に造詣が深いかもしれませんよ。彼女の言ったことが正しいのです。

『米、英、支、蘇、四(し)国に対し・・・開戦すでに、四(し)歳をけみし・・・・・』
これはわずか65年前の敗戦時の、天皇陛下の玉音放送での、数詞の扱いです。

戦前の数詞の扱いは、今とは違います。軍隊の号令で、点呼するとき、“四”は“し”であり、“九”は、“く”です。“よん”“きゅう”とは発声していません。たとえば、テレビ、舞台の時代劇で、“よんごう”などと言ったら、時代考証どうなってる!と指摘を受けてしまうでしょう。

“ひとだんらく”も“いちだんらく”であって“ひとだんらく”などは広辞苑にも存在しません。
“いち”と“ひと”は微妙なニュアンスの違いで読み分けることもできます。“ひとだんらく”は“いちだんらく”と“ひとやすみ”の混同からくる間違いです。“いち”は数字であって、“ひと”は量と解釈することもできます。“いちだんらく”は、文章の段落を物事に比喩した用法です。一文字分段落するのですから、この場合は数字の一でよいでしょう。“ひとやすみ”は数字ではなく、少しのという意味になります。
名前
URL
削除用パスワード
by attainmentofall8 | 2010-12-09 17:43 | 雑感 | Comments(0)