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日々の雑感


by さむちゃん
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達人

オイゲン・ヘリゲルは師匠阿波研造に、呼吸は丹田に力を入れてするんだといわれて、呼吸は肺でするものであってへその下にある丹田でしろといわれても生理的に不可能だと得心がいかない。いい加減なことを言うなと心で憤慨する。さらに、的は狙ってはいけない、中てることもそれ以外のことも何も考えてはいけないといわれて、的に中てるには狙わないわけにはいかないと師匠に問い返す。

師匠はヘリゲルに、できないのは不信のせいだと看破する。

ある道の達人の域に達した者に素人が近づこうと思ったら先ずは信じること、絶対的な帰依が不可欠であるということを教えている。
ここで「学ぶ」とは「まねぶ」という「まねる」の古語からきていることの意味がわかる。師匠が「まねぶ」対象と映らなければ弟子はいくら修行をしても師匠の域には達しないということになる。師匠が白といえば白、黒といえばたとえ白でも黒になるわけだ。絶対的信奉が学びの第一歩だろう。不信が揺らぎになり腰の据わらない取り組みになり結局ものにならないわけだ。
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マイムの第一人者カンジヤママイムの藤倉健雄は師匠トニー・モンタナロから次のようなことを言われたそうだ。
マイムで何かの動物(ここでは猿)になりきろうとする時に
”Recall in your memory the image of monkey. Let the monkey take over you and play with your body!"( 猿のイメージを思い起こしてごらん。そしてその猿に乗り移ってもらって君の体を貸して演じてもらうんだよ。)

ある登場人物に台詞を言わせる時、演技指導の本でよくこんな表現が見受けられるそうだ。 
”Let the character live in the situation and savor the dialogue." 
(登場人物にその場面に生身で出てもらい君との対話を楽しんでもらうんだね)

かの有名なミケランジェロが自分の彫刻についてこんなこと言っていたそうです。
My work is to find the ideal image imprisoned in the marble and to release it rather than trying to create the image.
(私の仕事は、大理石の中にもともとある理想のイメージを見つけ出して、そこから彫りだしてあげることであって、イメージを創り出そうとするのとは違います)

師匠方の言説には深遠なものがありますね。
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by attainmentofall8 | 2010-04-24 21:40 | 映画/落語/芸能 | Comments(0)