日々の雑感


by さむちゃん
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<   2016年 07月 ( 14 )   > この月の画像一覧

羊と鋼の森

「羊と鋼の森」宮下奈都著
2016年本屋大賞受賞作品
タイトルだけではどんな作品かさっぱり想像もできないが、読み終えてなるほど納得するネーミングである。「舟を編む」三浦しをん著に似たところがある。「舟を編む」は、辞書編纂に精魂を傾け言葉の大海を漕いでいくような職人の世界を描いた作品だった。

「羊と鋼の森」は、調律師の話で、調律の蘊蓄が随所に出てくる。作中の外村はグランドピアノの蓋が開いたときに森の匂いを感じる。調律師の仕事の奥深さを象徴するメタファーとして森。そして羊は愚直に職を追求していく善と美の存在たる調律師のメタファー。善にも美にも「羊」が漢字のなかに含まれている。

ピアノは鍵盤を叩くと、ハンマーが連動して垂直に張られた弦を打ち、音が鳴る仕組みになっているそうだ。そのハンマーは羊毛を固めたフェルトでできている。つまり羊毛のフェルトのハンマーと鋼の弦がつまったピアノの内臓部を象徴したタイトルとも言える。

お客が調律師に言葉で調律の仕上がり具合を「チーズみたいな音に調律してください」と頼んだらどうするか、と外村とその先輩柳との会話がある。素人考えでは、ただ機械的に調律するだけかと思いきや、調律の奥深さを知る。

巻末の謝辞を読めば分かるが、調律師への徹底的な取材がなされた結果の作品だと納得する。
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by attainmentofall8 | 2016-07-28 23:29 | 読書

切れ字「や」の続き

切れ字の「や」について。前回、

朝顔に釣瓶とられてもらい水 加賀千代女

の「に」は「や」で切れるのが原句だったのではないか、という記事を紹介した。

朝顔や釣瓶とられてもらい水

「に」は理屈が先行する。「や」は「朝顔や」で切れることで、朝顔の咲く朝に、誰かに釣瓶を盗られてもらい水をする、ととるべきではないかというのが久米氏の意見である。一方、釣瓶を盗まれるという無粋なことは俳句にはならないのではないかという意見もある。千代女さんに、もらい水してもらうことを希望する隣人にいたずらで隠されたかなにかではないか?なにせ朝の寝起きの顏でも美人の千代女さんである。

「や」で切った二句一章の句を見ながら、季語との微妙な付き具合をみてみたい。つまり季語が動かず一句の中で生かされているかどうかということである。

あぢさゐやきのふの手紙はや古ぶ  橋本多佳子
あぢさゐや軽くすませる昼の蕎麦  石川 桂郎
あぢさゐや仕舞のつかぬ昼の酒   乙二
あぢさゐやなぜか悲しきこの命   久保田万太郎
紫陽花や家居の腕に腕時計     波多野爽波
紫陽花や師の音声のラヂオより   石田 波郷
紫陽花や子を生み終へし高いびき  岩田 由美
紫陽花や身を持ち崩す庵の主    永井 荷風

紫陽花は、梅雨時の代表的な花であるが、万葉集の時代は「ガクアジサイ」のことだと考えられている。橘諸兄の歌に、「あぢさゐの八重咲くごとく八つ代にをいませわが背子見つつ偲はむ」からみても、大ぶりな色柄からおめでたい花と考えられていたようだ。

今では品種改良されてさまざまな種類があるが、ガクアジサイはホンアジサイに比べ控えめな感じがするのか花言葉は「謙虚」。

ホンアジサイの花言葉は多彩。
ポジティブイメージでは、「元気な女性」「辛抱強い愛情」「一家団欒、家族の結びつき」
ネガティブイメージでは、「移り気・浮気・変節」「冷淡」「高慢・無情」

波郷句は、切れを大事にした波郷らしい句である。師とは秋櫻子のことだろうか。ガクアジサイから師系図がイメージされるうえに、ラヂオを通して聴く師の声に敬意すら抱いている。

万太郎句の「なぜか悲しきこの命」。「気に食わぬ風もあろうに柳かな」という川柳を思い出す。濁世に身を置くしがない人間の宿業すら感じる。この句の場合、無常観があぢさゐという季語を抜きにしては出ないだろう。
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by attainmentofall8 | 2016-07-26 23:48 | 俳句/短歌/川柳

朝顔や

俳句雑誌「火の島」8月号の俳句文語塾(久米芳仙)に面白いことが書かれている。

教科書などにも出てくる加賀千代女の有名な俳句

朝顔に釣瓶とられてもらい水

この句の、「に」は「や」で切れるのではないかという角川源義の意見があることと、飯田龍太「作品のこころ」に、千代女の生地加賀松任市の聖興寺にある茶掛けには「や」で書かれてあるということを紹介している。

「に」の場合を考えてみると、朝顔に釣瓶をとられるというのは不自然で、たとえ取られたとしても一晩の蔓の巻き付きくらいならそっとはずして水をくめばいいわけであまりにできすぎの感がする。優しさを前面に出しすぎで嫌味すら感じてしまう。

一方、切れ字「や」にして二句一章の句と考えると、全く違った意味が現出する。
朝顔や釣瓶とられてもらい水

これなら、泥棒か何かに釣瓶桶を盗まれて水が汲めなくなってしまった。仕方なくもらい水をしたとなり納得のいく句になる。盗まれたなんて無粋なことよと思うなかれ。俳人蘭更によれば、「あはれなるやうにてつよからず、いはばよきをうなの、なやめるところあるににたり」と絶賛したという。「や」にしてこそ、美人俳人の千代女の句姿になってくる。

以上が久米氏の要約である。
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by attainmentofall8 | 2016-07-25 22:52 | 俳句/短歌/川柳

トランプ対ヒラリー

アメリカ共和党全国大会で、ドナルド・トランプが共和党代表として正式指名されたようだ。
これで民主党のヒラリー・クリントンとの対決に移るが日本にも大きな影響を与えるだけに興味津々である。

選挙戦のレトリックを差し引いても過激すぎる発言を繰り返すトランプには辟易する。テロが頻発している国際情勢や、アメリカ国内での移民問題・人種間問題など考えると、難題を一網打尽にしてくれそうな候補に見えるのかもしれない。しかもトランプはWASPの代表とみなされているようだ(白人で・アングロサクソン系で・プロテスタント)大統領候補としては、欠点や粗削りな面があっても打ってつけの候補でもある。当選後は現実的な路線になるだろうという期待があるのかもしれない。

一方、黒人大統領が二期務めたので今度は女性大統領をという期待もあるようだ。パートナー国でもあるイギリスで女性首相が誕生したばかりなので風は吹いているのかもしれない。

よみうり本社版に掲載された川柳
トランプはジョークだったと笑える日 逸郎
上手い!と唸ってしまった。さすが時事川柳の第一人者だけある。
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by attainmentofall8 | 2016-07-20 22:27 | 政治/経済

俳句の余情

きょうは、ひと月ぶりの俳句会であった。

補助金の申請書記す夏の月
に対して、もろに詠まないこと、余情を読者に連想させるようにつくること、という指摘を受けた。

俳句は詩であるので、事実をそのまま詠むものではないということはわかるが余情を出すというのは難しい。明鏡国語辞典には、余情=詩歌などで表現の背後に感じられる情趣とある。

俳句は寄物陳思(物によせて思いを陳べる)の詩であると主張した山口誓子の句をみてみれば余情という言葉の意味が分かるかもしれない。

夏の河赤き鉄鎖のはし浸る  

川ではなく河。そこに停泊している船から垂れ下がっている鎖だろうか。その先端が水の中に没しているという情景だけである。感動を生んでくれた情景を写生することに徹しているように思える。うだるような暑さに「じゅぅ~」と音をたてて鉄鎖が冷やされているような感じもする。鉄鎖さえ水を求めてだらーんと垂れ下がっている様子から、屈強な男の虚脱感や倦怠感すらイメージさせる。

五七五という制約の中で全てを表現することは不可能だから、感動の余韻・余情をいかに読者に感じ取ってもらえるかが佳句の分かれ目なのだろう。

春の蟻父知らぬ子の小銭入 丸山眞

春の蟻のシンボリックな意味が解らないと丸山先生の句は十分鑑賞できないだろうが、以下の句でニュアンスを探ってみたい。
春の蟻アロエの剣の刃を渉る 脇本星浪
春の蟻はや石亭の庭走る 迫田健路
春の蟻まだ列なさず女寺 矢萩シン
春の蟻とばされながら行方もつ 小檜山繁子
春の蟻はや天日に焦げにけり 阿部みどり女

上掲句から、春の蟻はなんとなく弱弱しいイメージながら、社会性を身につけながら集団に入っていこうとする真面目さ・一途さ・危うさがくみ取れる。しかも丸山句は父のいない母子家庭の少年である。その少年がもつ小銭入れ。境涯句でありながら共感されやすい句でもある。
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by attainmentofall8 | 2016-07-18 23:26 | 俳句/短歌/川柳

小林秀雄の俳句論

小林秀雄と岡潔との対談本「人間の建設」の中に、小林が俳句に関して大変興味深いことを言っている。

小林の飲み仲間の骨董屋が亡くなる。息子が親父の一周忌に親父の句集を出したいので序文を書いてほしいと訪ねてくる。生前にそんな約束をしていたらしい。ちゃんと日記句帳に書いてあるという。それではということで、句帳をもってきてもらい見てみると、駄作(小林の毒舌だが)ばかりで俳句なんていうしろものではない。

ところが中に「小林秀雄を訪ねる」、「小林秀雄に」などの詞書に続けて、
「毒舌を逆らはずきく老いの春」「友来る嬉しからずや春の杯」といった俳句がある。駄作だが、その親友の骨董屋を知っているだけに味わい深いおもしろい俳句に感じたそうだ。

というのも、彼は李朝のいい徳利を持っていてそれを売りもせずに二十八年見せびらかせながら酒を酌み交わしてきたそうだ。そしてついに28年めに酔っぱらった勢いで「お前が危篤になって電報を打ったら返しに行くから」と言って小林がぶんどったという。ところが彼は電報を打つ前に亡くなってしまう。

まあこのような二人だけがよく知る事情があるので、彼の俳句はおもしろいとしみじみ感じたそうだ。「毒舌を逆らはずきく」というのは、小林が徳利を持って帰ったことで、ちょうどその日に詠まれた句だった。

また、「あれはああいふおもむきのもの海鼠かな」や
「二日月河豚啖(くら)はんと急ぐなり」
海鼠の味などお前たちにゃわからないという含意であり、柳橋で芸者をあげたときの芸者を河豚になぞらえていたりと、結局これらの俳句がわかるのは小林ひとりではないかと…

つまり実物を知っていて読んでおもしろいのが俳句だと小林はいう。芭蕉の名句と言われる句は、芭蕉につき合った人だけに分かっている何か微妙なものがあるのではないか?と小林は語っている。

けっきょく短詩型の悲哀というか鑑賞や批評には限界があるということでもあろう。第二の創造といった逃げで曖昧にしているが、作者をよく知らないと句の本意まではどうしてもつかめないということを改めて認識させられた。
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by attainmentofall8 | 2016-07-13 23:40 | 俳句/短歌/川柳
ふるさとの訛なつかし停車場の人ごみの中にそを聴きにゆく  石川啄木

寺山修司は
ふるさとの訛なくせし友といてモカ珈琲はかくまでにがし

と、啄木俳句をもじりながらも修二独特の換骨奪胎を行っている。生涯青森弁が抜けなかったといわれる修二の矜持からでた一首にちがいない。かごしま弁で言えば、「よかぶって標準語をしゃべんなよ。かごっまべんのしゃべれ」という気持ちだろうか?!

7月16日、17日鹿児島県民交流センターで「第1回かごしま弁フェスティバル」が開催される。かごしま弁の「楽しい、面白い」をテーマにしたお祭りである。

子どもたちに鹿児島弁を伝承していく場であり、鹿児島弁を日常生活の中で使っていきましょうという運動の一環でもある。両日とも“ミスター鹿児島弁”で出演することになっている。鹿児島弁でおしゃべりを楽しんだり、来場者にかごしま弁川柳を作ってもらったりする予定だ。優秀作には賞品があり全員に参加賞がある。
ご興味のあられる方はお運びください。

16日12時~18時
17日10時~16時 
かごしま県民交流センター 大ホール2F・大ホール前エントランス2F
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by attainmentofall8 | 2016-07-12 22:08 | イベント・お祭り

川涯利雄エッセー集

短歌の指導を頂いている川涯利雄先生が、最近二冊の本を上梓された。
「川涯利雄エッセー集」と歌集「エロイカを聞く夜に」

エッセー集は、短歌結社「華」の主宰者で歌誌「華」の編集長を80号(現在103号夏号まで既刊)までされていた先生が書かれたあとがきを再編集したものである。ちょっとお手伝いさせていただいた関係でとても感慨深いものがある。

副題が「フィンランディア―感謝と祷り」
華が創刊するきっかけになる城山ホテルでの松山先生の昏倒から始まり、シベリウスのフィンランディアが響き渡る中、川涯先生ご夫妻が乗った飛行機がシアトル空港に着陸するところへと、息つく暇もないようなスリリングな展開であっという間に358ページを通読してしまう。

歌集「エロイカを聞く夜に」は先生の第一歌集だが、今回文庫版での出版である。
こちらも涙なしには読めない必読の歌集である。華の歌会に参加するようになってすぐに読ませてもらった歌集であるが、短歌のとりこになってしまった歌集でもある。
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by attainmentofall8 | 2016-07-08 17:08 | 俳句/短歌/川柳

すいおう

樋脇の道の駅で「すいおう」というサツマイモの茎を売っていたので買ってみた。

戦時中に茎を食べたという話を聞いていたが、販売されているのを目にするのは初めてである。ネットで調べてみると「茎葉が食べられるサツマイモをなんとか作れないものか」と、農研機構九州沖縄農業研究センターで研究を重ねて誕生したのが「すいおう」(緑の王様の意)だそうだ。

湯掻けばあとは油炒めでもてんぷらでも酢のものでも何でもいいという説明書きがある。

一緒に買ったのは、オクラの花。

きれいな黄色の大きな花びらである。食用になるのは未熟の果実のほうかと思っていたら、花も食べられるそうだ。湯掻いてから混ぜるとどろどろになるとある。納豆などと合いそうだ。
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by attainmentofall8 | 2016-07-05 22:12 |

餃子

餃子をいただいた。
今夜は焼酎が美味しく飲めそうだ。
感謝。感謝。m(--)m
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by attainmentofall8 | 2016-07-05 09:43 |