日々の雑感


by さむちゃん
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切れ字の「や」

降る雪や明治は遠くなりにけり  中村草田男

切れ字を二つ使った例としてよく取り上げられる俳句だが、教科書にも掲載されている。先日の句会で、この句には似たような先行句があったということを知った。

獺祭忌明治は遠くなりにけり 志賀介子

中七と下五が同じなので盗作のように言われるが、「明治は遠くなりにけり」は、昭和になって「明治を懐かしむ」自然な気持ちとして出てきたフレーズではないだろうか。
しかも後者は、子規の忌日の獺祭忌を使っているので、子規にまつわる文学的な風潮が薄れてきたと慨嘆しているような響きがある。季語によって限定された句に仕上がっている。

一方、草田男の句は、切れ字をダブルで使った悪例と酷評する向きもあるが、大胆に推測するにこの「や」は詠嘆ではなく「並列」の「や」と考えることも可能ではないか。

つまり、「降る雪」はそれに象徴される何か大きな事件と理解すると、人間の忠義やその時代時代の特徴的な人間性を示唆していて、大正・昭和とそれが失われつつあることに慨嘆しているようにも思える。

これは、切れ字を二つ使うことは制約の多い五七五の世界では愚かなことだという共通認識の下での大胆な推理である。草田男はあえてそれにチャレンジしたのだろうか?!
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by attainmentofall8 | 2016-10-14 21:30 | 俳句/短歌/川柳