出家
2016年 07月 02日
NHKのEテレ「こころの時代」(2日13時~)に、花園大学の佐々木閑教授が出演していた。たまたまつけたテレビで再放送の番組だった。「わたしの『出家』生活」というテーマで、氏自身の出家的生活を交えて話をされた。
厳密な意味での「出家」は、「俗世を離れ剃髪し仏法修行の道に入ること」となろうが、佐々木氏の勧める出家は日常生活でも普通に実践できることらしい。
「自分の好きなことをずっとやり続けられる環境に身を置くこと」が氏のいう出家だそうだ。
たとえば、科学の世界をみると、大学などでビッグバンの研究をしている人は好きな研究に没頭している。宇宙創成の研究などすぐに役立つことでもないが、一途な研究姿勢をみて応援してあげたいという気持ちになったり、将来役立つであろうという期待感からお金が集まる。多くは税金がお布施という形で使われている。
家族を持つ人には大変なことに思えるが、例えば自宅で研究を毎日2-3時間せざるを得ないとすれば、それは家族からその時間を布施でもらっているという考えになるらしい。当然、そこには感謝がなければならないし、それをエネルギーにしなくてはならないわけである。
スポーツにおいても、例えば野球、イチローみたいな求道者タイプなら喜んで大金を出してでも球場に足を運ぶだろう。お布施が活きると考えるからである。
一時間の番組を、ひと言で要約するのは容易ではないが、出家的生活という新しい考えと布施について考えさせられた番組であった。
牧水や山頭火がすぐに頭に浮かんだが、氏のいう出家的生活をおくり後世に名前を残した人物といえるだろう。