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日々の雑感


by さむちゃん
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武満徹

『武満徹・音楽創造への旅』立花隆著をやっと読み終わった。800ページ近い、原稿用紙に換算すれば千枚以上になるような、読むのに骨の折れる作品である。生前の武満との100時間以上にわたるインタビューと裏を取るための周辺の人々へのインタビューなどを基にして、『文学界』(文芸春秋)に通算8年にもわたって連載された記事がこの大作になっている。

立花隆の緻密なインタビューと文章力で、武満徹という人物の人間像だけでなく彼の音楽観、作曲手法など余すところがないほど細微にわたって記されている。武満の父親が薩摩川内市隈之城の出身ということもあり以前から名前は知っていたが、彼の波乱万丈の人生と世界的な業績にあらためて畏敬の念を覚えた。

武満の哲学的思弁にも圧倒される。音楽を創造するとはこれほどまでに内面に過酷な試練を課さねばならないものかと驚く。「音楽のヘテロジェニティと一個の人間の避けがたい二重性…
音楽は、この宇宙を無限に循環する水のかりそめの形であり河や海と同じものである。作曲という行為は音にかりそめの形をあたえる=縁づけるということである」と武満は言う。

生と死についても、「人間の生は束の間だが、死は無限だ。しかも人間の意識の薄いベールを隔てて、死は常に生のただなかに生き続けている。すると、こうして眺めている風景も、すべては死の風景だと言えなくはない」と言っている。

武満の曲の聴き方が変わってくるのは間違いないだろう。
Commented by h82261765 at 2016-06-03 02:33
わたしの反省は全く本を読んでこなかったこと。若い頃は短編小説も書いていたのに
松本清張の本ですら10冊も読んでいないだらうな。
作句活動にもマイナスになってる気がします。
Commented by attainmentofall8 at 2016-06-03 08:50
清展さん、あまり関係ないですよ。いつもすばらしい短歌・俳句・川柳を作っておられますよね。この本はちょっと疲れるボリュームです。ただし読み終えた後は充実感に満たされますのでお勧めです(笑)
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by attainmentofall8 | 2016-06-03 00:25 | 読書 | Comments(2)