日々の雑感


by さむちゃん
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31

はだしのゲン騒動

松江市教育委員会が、漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を公立小中学校に指示していた問題がマスコミで取り上げている。

2012年12月、「はだしのゲン」の中の、人の首を切る場面や、性的描写など表現が過激だとして、市内全ての小中学校に対し、生徒らの自由な閲覧と本の貸し出しの制限を求めた。と、いう昨年の話らしい。なぜ今ごろになってマスコミが騒いでいるのか不思議だ。

広島への原爆投下や戦後の混乱を描いた中沢啓治作の「はだしのゲン」(1973-85)は、これまで子ども達は制約なしに読むことができた作品である。この作品がいろいろな論議を引き起こしてきたことは事実だが、教育委員会が制限を求めたことはなかったのではないか。松江の子ども達はとくにナイーブだから、もろもろの事情から閲覧制限を出さざるを得なかったという教育委員会の判断があったのであれば、それはそれでいいのではないかと思う。

著者の中沢啓治は、「子どもの心にトラウマをつくり原爆などといった兵器を二度と使わない平和教育をするため…」といったような趣旨のコメントを過去にしている。そのための残虐、卑猥な描写なのだろう。ところがいつものことながら、アメリカの原爆投下を糾弾したい人たち、日本軍の残虐行為を政治的に利用したい人たちが、作品に便乗したところもある。

日本人は、賢明なことに、グリム童話の白雪姫、シンデレラ、赤ずきんちゃんでも原作にある残虐な部分は書き換えて紹介している。「三匹の子豚」は、日本版では、「お湯の中にどぼん~。熱い!!」(Splash! Ouch!)と退散して二度と戻ってこなかった、となっている。原作はたしか、煙突から入ってきたオオカミをぐらぐら煮え立つお湯の中に落として食べてしまうという残酷なものである。日本人的思いやりというか優しさが象徴された翻訳版である。

中学3年生の英語の教科書New Horizon English CourseにあるA mother’s Lullabyは広島の原爆投下を扱った話だが、「原爆=Atomic Bomb」という言葉の代わりに「A big bomb」を使い、どこが落としたのかも書いてない。恐らく、アメリカ人のALT(外国語指導助手)に対する思いやりからなのだろう推察する。英語の授業のたびに自国の過去の過ちを読まなくてはならないのは苦痛だろう。忘れたふりをして国際交流の方に力点を置くやり方ともいえる。

以上のような問題には一顧だにしないマスコミだけに、今回のマスコミ騒動は、閲覧制限によって「表現の自由」が侵されたのではないかという、いわゆる人権派の人たちの申し立てにマスコミが乗っかっているだけという印象をうける。藤圭子の自殺騒動で尻すぼみになるような、その程度の騒ぎである。

マスコミは、取り上げて騒ぐのならもっと背後にあるものを掘り下げてほしい。どのようなやりとりがあって閲覧制限を教育委員会は出すに至ったのか。子供たちへのトラウマの実情はどうなのか。1990年(平成9)の神戸連続児童殺傷事件のあの少年も、この漫画を読んでいたかどうか知らないが、漫画の描写のようなことをして世間を震撼させた。海外20か国語に翻訳されて読まれているらしいが、そちらの事情はどうなのか。いくらでもマスコミが突っ込まなければならない点はあるにもかかわらず、「表現・出版の自由」を制約するなどけしからんという一点張りの論調にはうんざりする。

[PR]
by attainmentofall8 | 2013-08-23 19:36 | 雑感