日々の雑感


by さむちゃん
カレンダー
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

連用形止め

作家北村薫氏が著書の中で、ある川柳を読み間違えた体験を告白している。

「親類の子も大学を落ちてくれ」(番傘川柳一万句集より)
「落ちてくれ」は、もちろん命令・願望ではなく、「~た。~ました。」が続く連用形止めである。北村氏は、命令・願望で理解して、なんといやな句だろうと思われたそうだ。

ちょっと川柳をやった人なら、古川柳的な響きのこの連用形止めはときどき見かけるので、間違えることはないだろう。口には出さないが、親としての安堵が垣間見える穿ちの効いた句である。最近は句会でも、この連用形止めは直されるのであまり好まれない形のようだ。上記のような誤解を読者に与える可能性があるからなのかもしれない。

ちなみに岸本水府自選百一句をチックしてみると実に20句近くが、連用形止めになっている。蛇足ながら、岸本水府(1892~1965)は、番傘創刊者であり、またグリコの有名な「一粒300m」のコピーライターでもある。

参考までに今年の6月2日に行われた噴煙川柳大会入選句約600句の中に、ざっと見て連用形止めは5句ほどである。明らかに倒置とわかるものを除けば、3句。現代川柳では、古川柳的響きのこの手法はすたれつつあるようだ。

現代風にアレンジすれば、こんなところになるだろうか。
「親類も落ちて笑顔の発表日」
「落ちてから記念受験といういとこ」
「親類も落ち運不運も親戚」
「大試験親類も落ち生き返る」

[PR]
by attainmentofall8 | 2013-08-19 17:15 | 俳句/短歌/川柳