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日々の雑感


by さむちゃん
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華より花

第二次世界大戦中、アメリカとの彼我の差をうすうす知りながら自暴自棄的に敗戦にむけて突入していったことが様々な本に書かれている。最高戦争指導会議の一部のメンバーだけでなくむしろ市井の住民の方が鋭く感じ取っていたのかもしれない。

お寺の梵鐘だけでなく一般家庭の鍋釜まで供出させられたり、竹槍の訓練を女子供までやらされたとかよく聞く話である。大型戦艦の時代から戦闘機の時代になっているのにありとあらゆるところから鉄を集めて軍艦をつくっていたのだから…。後知恵だから何とでも言えるが、強要している人間はその状況にどっぷりつかっていると見えないから逆に大真面目なのだろう。

先日、柳家紫文のライブに行ったとき求めた本、「華より花」に次のようなくだりがある。最後の吉原芸者と言われ、つい最近89歳で亡くなったみな子姐さんの戦中の回顧談。

「お国のためですよ。なんたって勤労奉仕の第一班長でしたから、あたし。近所の作業所で、檜の木を鉋(かんな)で削ってね、緑色に染めて紙縒り(こより)状にするんですよ。それを何に使うかっていうとね、なんと国会議事堂の屋根にびっしり敷き詰めるっていうのよ。カモフラージュっていうあれよ、B29からの。今思えばねえ、これじゃ勝てっこないわよ、こんなもんじゃ。お偉いさんたちが、吉原の芸者に守られているんですからねえ。それにアメリカだって、今の今まであった議事堂が急に森になったなんて…。騙されないわよねえ、ホント。」

映画で我々が知る硫黄島やサイパン島での悲劇の裏にはこんな話もあったのである。為政者が大真面目に何かをやろうとしているとき、一般国民がそれとは違う意見で収斂していく状況はまさに上の話に似てはいないだろうか。

ネットから始まり連続して起こっているチュニジア、エジプトなどの政変も、為政者と国民との大きな意識のずれである。日本の政治状況も大丈夫だろうかという一抹の不安を感じないではいられない。
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by attainmentofall8 | 2011-02-17 17:41 | 政治/経済 | Comments(0)