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日々の雑感


by さむちゃん
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白鵬の連勝記録

大相撲が昨日初日を迎えた。横綱白鵬の連勝記録がどこまで伸びるかがかかった場所の割にはあまり盛り上がっていないようだ。しかしながら相撲界にとっては起死回生の場所と言っていい大事な場所だろう。白鵬が双葉山の69連勝を抜くかどうかという大記録がかかっている。野球賭博事件で低落の続く相撲協会にとって厄年だった2010年の締めの場所に願ってもないかたちででてきたのは、興行主としての面目躍如だろう。

現在の年6場所制とは違って双葉山の当時は年2場所制で、相撲界や相撲ファンにとっては特別な響きを持った数字である。年6場所制になってからでも、千代の富士53、大鵬45、朝青龍35、北の湖32連勝と69連勝には届いていない。日本人力士にとっては、神格化された双葉山の大記録の前にすくんでしまうのだろう。破るのは外国人力士しかいないと言われてきたが、満を持して絶好のタイミングでの登場である。

白鵬の初日の63連勝、2日目64連勝と69に近づくにつれて熱気を帯びてくるのではないだろうか。順調に勝ち進めば中日の21日に抜くことになる。双葉山の連勝を止めた安芸ノ海、大鵬を止めた戸田いずれも前頭である。白鵬を止める伏兵はだれか注目を集めるだろう。

日本のプロ野球で大リーグの選手が日本人の大記録(例えばシーズン最多ホームラン)を抜こうとするとできないように敬遠するといった嫌がらせがあった。白鵬もモンゴル人だから神聖な記録に触れてはならぬ的な発想が出てくるのかと思いきや、やはり背は腹に変えられないというところなのだろう。

もちろん白鵬自身の日本人より日本人的な言動に違和感がない好感度からきているのかもしれない。彼の知恵袋もすごいと思うが、白鵬の謙虚さに大記録を破るのは白鵬しかいないと周りに思わせてしまうのはえらい。双葉山のお墓に隠密で参ったとか言われているうえに、双葉山の大分の生家や資料館を場所前に訪ねている。

大リーグのイチロー選手がやはりシーズン最多安打記録262安打を抜くときも、ジョージ・シスラーの家族と会ったりしたと聞く。さらに8年連続200本安打記録のウイリー・キーラ―を破るときも大変な謙虚さだったと思う。

先般ノーベル化学賞をダブル受賞した根岸・鈴木両氏も驚くほど謙虚なコメントだった。鈴木氏「ひとえに学生諸君そして共同研究者の皆さんの協力のたまもの」。根岸氏「同僚の尽力があってこそで自分がもらった賞ではない」とかシカゴ総領事館では「私は日本人だが専門領域で必要なことはすべてこの国で学んだ」とコメントしている。

このように周りのことをおもんぱかって自分を謙虚にする芸当ができるのは、世界広しといえども日本人だけではないだろうか。ある意味特異な能力を持つ民族だと思う。これこそが和を保つうえでのひとつの知恵だったのかもしれない。英語にもreservedやmodestといった謙虚さを表す言葉はあるが、assertiveという自己主張のかげに隠れているうえに、日本人の謙虚さは英語のreservedやmodestなどよりはるかに広い概念を持つ言葉であると思う。

白鵬に戻ると、彼はそのような日本人のメンタリティーをあるとき知ったのだろう。朝青龍という反面教師がいたこともあるだろうが・・・。元寇になぞらえてモンゴル来襲などと恐れていたのが、いつのまにか日本人の心を伝えてくれる模範的日本人のような横綱になった。
69連勝をかけた取り組みが白熱化してくればこれまでのスキャンダルの禊がすみシャンシャンとなるはずだろう。まさに白鵬は相撲協会の救世主である。
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by attainmentofall8 | 2010-11-15 16:54 | 雑感 | Comments(0)