日々の雑感


by さむちゃん
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落語家の記憶術


最近の落語ブームで落語のうら話を書いた本が相次いで出されている。
その中でタイトルに引かれて二冊を購入した。

「落語家はなぜ噺を忘れないのか」柳家花緑著。 人間国宝の柳家小さんの弟子でまた孫でもある花緑師匠が正直に落語家の頭の中、手の内を見せた好著。
もう一冊は「記憶する力、忘れない力」立川談四楼著。 立川談志師匠に入門して芸歴40年のベテラン落語家が入門から現在までの体験を基に書いた好著。


どうやってあんな長い話を覚えるのだろうという素朴な疑問を持つのが観客の一般的な反応のようだ。まあ僕もその口なので本を買ってしまったのだが・・・。

役者は長いせりふを覚えても観客にそのことをほめられることはあまりないのに、落語は時にファンが楽屋まできて「あんな長い話をよく覚えましたねえ」と誉めそやすそうだ。

ひとつの長い噺をよどみなく完璧に覚えているのも感心するのだが、持ちネタの数にも驚く。花緑師匠は、145本の持ちネタがあると書いている。そのうちの24本はいつでも高座にかけられるネタ、72本は2~5回さらえば高座にかけられるネタ、残りが高座にかけたことがあるが作り直す必要があるネタの3分類している。

さて、肝心のどうやってネタを覚えるか?だが、ノートに書き写し台本を作って丁寧に覚えるそうだ。意外にも思えるが、やはりそうだろうなと妙に納得がいく。もちろん中にはテープやCD、MDを聞くだけで覚える落語家もいるそうだ。

初めは丸々コピーして覚える。だから師匠が誰か、誰から教わったか聞く人が聞いたらすぐわかるという。次が覚え方を覚えるという段階になる。これは自分なりに咀嚼して自分なりの演出をしてこそ、その噺を身につけたことになる。前座、二つ目くらいまではたいていこのような感じでひたすら繰り返し稽古をして身につけるそうだ。真打になるころになれば、せりふが入れ替わろうが、話が多少それようが、最終的にひとつの物語になっていてお客さんが面白ければいいという境地に入る。

これは何のお稽古事でも当てはまることだろうが、最初は師匠の型をそっくりまねて基礎を体で覚える。それから師匠や一門を越えて他の流派も取り入れていく段階。さらにもう一度噺を練り直し自分の持ちネタに仕上げる。まあ、ざっとこんなステップを踏んで芸を磨いていくと花緑師匠はいう。

談四楼師匠も同じようなことを言っている。新人にとっての初心や原点はリフレインで、とにかく量をこなすしかないという。先ずは体が覚えて次にそれを頭が理解したことになるという順序を踏むべしと。談志師匠は「夢の中でも落語をやるぐらいにならなきゃだめだ。とにかく反復だ、リフレインだ」というのが口癖だったそうだ。
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by attainmentofall8 | 2010-06-13 00:23 | 読書