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日々の雑感


by さむちゃん
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毎日新聞「発信箱」 原爆投下


今朝(5/10)の毎日新聞朝刊のコラム欄「発信箱」を読んでいて腹が立った。
筆者は北米総局の小松健一氏だ。

このたび国連の核拡散防止条約(NPT)再検討会議に合わせて多くの日本人被爆体験者がニューヨーク入りし被爆体験を語り続けたことに関してのエピソードである。

被爆者の一人がニューヨークの学校での集会でパールハーバー(真珠湾攻撃)を謝罪したことを踏まえ、アメリカの反戦活動家がブログで「どうして被爆者が謝らなければならないのか」と疑問を呈したそうだ。
小松氏は22年前広島支局勤務時代、広島・長崎の被爆者がニューヨーク・ブルックリンの高校で被爆体験を語った際に出張取材で同行した経験を持つ。その時その高校の校長が「パールハーバーがなければ原爆もなかった。それをどう思うか」と質問したそうだ。被爆者は唇をかみしめて沈黙したらしい。それをみるに見かねたアメリカ人教師数人が駆け寄り「原爆投下は正当化できないと考えている米国人もいることを理解してください。私たちがそうです」と励ます。
小松氏は、被爆者たちは怒り・憎しみを覆い隠して被爆の惨状を語るという心理的葛藤を強いられてきた、という。そして、現在、核兵器の廃絶を訴えるオバマ大統領の誕生で環境が変わってきたことと合わせ、高齢の被爆者たちに残された時間は長くないから、封じられてきた魂の叫びを受け止め続けたいと結ぶ。

このコラム欄を読んで日本人のお人好しがこんなところにも出ていたのかとあきれた。小松氏自身もマスコミに長年身を置きながら何ら事態の改善、提言をしてこなかったのだろうかと思って腹が立ったのである。
被爆者たちは、体験談を語り核兵器廃絶に向けてアメリカや世界に発信していくという高邁な理想を掲げているとはいえ、現実にはガス抜きに利用されているだけという思いがする。22年前のツアーでは当然予測されるであろう想定問答の準備はしていかなかったのだろうか。そのときの苦い体験を活かしてメディアはなぜまじめに原爆投下の違法性を告発できなかったのだろうか。少なくともアメリカに反論できる理論武装の提言をしてあげなかったのだろうかと悔しい思いがする。22年経っても何も進歩していなかったわけだ。日本人的メンタリティーで謝ればわかってもらえるなどといった甘いものではないはずだ。国際場裡においてはなおさらのことだ。

先ほどの校長先生の質問に対して、僕なりに考えるのは反論というより次のような疑問を逆に提示してみせたい。
①原爆をなぜ広島・長崎に二発も落とす必要があったのか?
②大戦中43年のイタリヤの降伏は別として、45年5月ののドイツ降伏は原爆投下を知っていたのではないか?むしろ知らせていたのではないか?
③アメリカは二種類の原爆の威力を実験するために着々と日本投下に向けた仕掛けを実行していったのではないか?
④真珠湾攻撃はアメリカの陰謀説もあるがどうなのか?

最後に僕は言いたい。戦前の日本の軍国主義を正当化するつもりなどさらさらないが、アメリカの原爆投下をあいまいにしたり巧みにポイントをずらしたりするのがたまらなくいやなだけだ。アメリカ人は内心きちんと反論しない日本人を馬鹿だと思っているはずだ。奥歯に物がはさまった言い方でなくきちんと意見を言ってこそアメリカ人は日本人を評価すると考えたほうがいい。僕はアメリカに友人・知人がいて親米派であるがゆえにそう思うのである。負けて勝つとという戦略でもあればまだしもそれもなさそうだからだ。

小松氏の言うような「封じられてきた魂の叫びを受け止めたい」などと他人事のようなことを言ってないで、コラム欄の名前どおりにオピニオンリーダー的な発信をするのが新聞メディアの務めだろうといいたい。
Commented by kanjiyama at 2010-05-11 05:16
まったく同感です。アメリカに長くいた僕も何度と同じ討論を挑まれました。歴史とは人が語る視点により白いものも黒とされてしまいます。そしてやがてこういった言説が定着し、ある歴史感が定着してしまうものなのですよね。まさに歴史は勝者側からの言説の積み重ね以外の何物でもありません。

アメリカの高校および大学の一般教養科目では必ず原爆投下が戦争早期終結と犠牲者を最小限に抑える最良の選択として教え込まれているのも事実です。早期終結と犠牲者最小限にという目的からすると実に二か所に、それもほぼ立て続けにわざわざ二種類の原爆を投下する意味合いはまさに矛盾に満ち溢れていますよね。

本当に日本のマスコミは真のマスコミとしての役割をまったく果たしておらず、その社会的権力の上に胡坐をかいているのがたまらなく寂しく悲しいですね。
Commented by attainmentofall8 at 2010-05-11 07:40
kanjiyamaさんコメントありがとうございます。心強く感じます。個人がfriendshipから腰が引けるのはわかるとしても、メディアまでがなぜタブー視し玉虫色の記事しかかけないのか日本の不思議ですね。
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by attainmentofall8 | 2010-05-10 18:23 | 読書 | Comments(2)